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vol.019 ものぐさ遊牧民



日本中が冷夏といわれたこの夏、長崎は地獄のような暑さでした。


8月の気温はというと、気温35℃と湿度60%。スレートに囲まれた工場で仕事しながら、うらめしい気分で入道雲を見上げ、早く涼しくなれ、涼しくなれと毎日祈っていました。


10月現在、当地長崎の気温20℃。湿度40%。吹く風は心地よく、空は澄み渡った秋晴れ。愛犬を連れての夕方の散歩が快適になりました。九州は2ヶ月ほど遅れて北海道の季節がやっ

てきます。私の町長崎では、今まさしくアウトドアシーズンを迎えます。しかし、秋こそアウトドアシーズンだと思う人は意外と少ないようです。子供たちの夏休みが終わったという だけで、日本人はもう野外で遊ぶことに冷淡になりがち。例年、夏が近づくと「アウトドアシーズンだ!」と日本中が動き始めるのに、子供の夏休みが終わると、もう「オフシーズン」。


誰ですか? 夏休みがアウトドアシーズンなどと勝手に決めたのは。


当地長崎の夏は、強い陽射しで人が歩くのもフラフラ。湿度も高くて身体もベタベタ。しかも、虫に刺されて体中にかゆみが走る。ワースト3のそろい踏み。その夏に、キャンプだ、海水浴だ、林間学校だ…というのは自然を理解していない人たちの発想に思えて仕方がありません。


それともう一つ。子供の長期休暇に合わせて都合よく大人の行動を決めたのは誰ですか?キャンプ場の主役は「子供たち」と決めたのも、誰ですか?


キャンプの主役は、子供たちだけではありません。子供のような感受性を持つ少し年をとった“少年”たちも主役ですよ。


そう、あなたです!


さぁ、少し年を食っているけど、心だけは少年に戻ってみませんか?身体に多少ガタがきてても、背筋をしゃんと伸ばし、秋の風を浴びに出かけませんか?


草原のなかを走り回り、自分の快適な場所を探し出す遊牧民になってみませんか? 定住地を定めず、家族と家畜の最適な住環境を求めて移動し続ける遊牧民は、まさにアウトドアマンの原点かもしれません。


ところで、私は出かけるところはいつも決まっています。自分のお気に入りの原っぱ。ひたすら同じところばかり。どうもご当地を離れられない定着民族のようです。いやいや、2ヶ月遅れで長崎が北海道になるのをじっと待っている、どこにもでかけない「ものぐさ民族」かな?

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