現在わが家では、ドン(柴犬)と、チョコ(ミニチュア・ダックス)の2頭の犬を飼っています。
ドンは昔からいる9歳の中型犬。屋外犬として、庭やテラスでつつがない毎日を過ごしていました。
ところが4年前、新参ものが仲間入り。 新しい家族となったチョコは小型犬ということもあり、室内犬として飼い始めました。 寒いときでもぬくぬくと室内で過ごすチョコと比べると、風が吹き込む犬小屋
この人間サマの都合が、あの事件をおこしました。
2年前、夏も過ぎようとしていたあの日…。
ドンさんは、家のガラス戸のすき間を鼻先でこじ開け、テラスから突然室内に乱入。アッという間に、部屋の中央にデーンと「うんこ」。そして、はじっこにしゃーしゃーと「しっこ」をかけまくりました。 「コラっ!」と外に連れ出しましたが、ドンは、怒られることを承知している“確信犯”のふてぶてしさ。そのときは、本当に憎たらしい犬だと思ったものでした。
ドンの反乱は、その後も何度か続きました。 カミさんと二人、なぜだろうと考えました。 「9歳にして痴呆が始まったのかしら…」 そんなことを話し合っているうちに、ふとドンさんの“あの時の目”を思い出しました。 あの時の目。 それは、ドンがガラス越しに家の中を覗いていたときの目です。 家族の笑い声が溢れる家のなかで、カミさんに頭を撫でられ、子供たちの膝に抱かれているチョコの姿を、ドンはずっと庭のテラスから見続けていました。 人と仲良くできるのはチョコだけ。 一緒にキャンプに連れていってもらえるのはチョコだけ。 池田家のファミリーとして認められるのはチョコだけ。
俺も連れてってくれ! クルマにも載せてくれ! 家の中で一緒に遊んでくれ! ドンは、言葉に表現できない自分の気持ちを“目”に託することで、必死にそう訴えていたのです。 彼のやりきれない心を表現した“あの目”を思い出したとき、 「区別をやめよう!」 そう家族で決めました。
その日から2年あまり。 ドンは今では毎日、家族の団らんのリビングに寝そべり、キャンプに出かける時には必ず助手席に鎮座しています。夜、焚火を囲むときも、彼はけむたそうな目をしながら、それでも満足げに私のそばに座っています。 夜がふけると、彼は私の寝床のすぐそばのゲージの中で、ぐーぐーいびきをかき、ときどき「クォーンクォーン」と寝言を言ったりして安眠をむさぼっています。私は、その騒音に耐えながら寝ることにすっかり慣れました。
ドンが入るようになった家を、「臭くなった」と文句を言ってた息子も、今では学校から帰ると、「ただいま、ドン」と真っ先に声をかけるようになりました。 毛が抜けて掃除が大変とくさっていたカミさんも、それ以来まめにシャンプーしてブラッシングをしているようです。
ドンとの新しいコミュニケーションを深めるようになってから、彼の顔つきが変わりました。 剣を含んだきつね顔から、穏やかなたぬき顔に。 心の変化がはっきりと表情に現れるようになりました。 人間が愛情を注げば、犬は人間サマ以上に豊かな感性を発揮するようです。
これからまたオートキャンプのシーズン。 さぁ、行くぞ! 秋のオートキャンプに。 助手席はいつもあけてますから、その時はドンさま、またよろしく!!
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