top of page
  • creedence2

vol.013 father sky mother earth

何年か前の夏の日、私と友人、わが息子(よくコピーと言われます)。


3人で海へ。コピーは入江でキス釣り。私と友人は、すこし離れた岬でスキンダイビングの予定。現地へ着くやいなや、わが息子、「リールを忘れたよ」。また始まった。私のコピーの天然ボケ。道具のチェック、出かける前になぜしない。


「帰るまで、そこで待ってろ」


ちょっと気になったけれど、彼のことをすぐ忘れて魚を追いました。すると友人、「かわいそうでしょう。車でリールを取りにいったら?」。私は「それでいいんです。痛い目、インプットしているんです」。そう答えました。



息子のこと、あれからずっと考えてきました。最近の子供は殿様。学校の忘れ物まで親が届ける。雨の日は車で送りむかえ。私はそれができない。時代遅れのガンコ親父。そんな時、インディアンの首長シアトルが、アメリカの14代大統領フランクリンピアスに宛てた手紙をふと目にすることがありました。そこには、詩情にあふれながらも考えさせられるメッセージが載せられていました。


father sky.mother earth(父は空、母は大地)。


そんな内容です。父は空でいい。お陽さまだったり、雨だったり、強く吹く風だったり、そよ風だったり…。それを読んだとき、親父は、やっぱりあれでよかったんだと、そう思えました。あの時、リール取りに行かないとかわいそう、と友人。私は取りに行く方がずっとかわいそう。愛のムチ。ある時は厳寒の烈風。ある時はそよ風ですね。実はそんなこと、まったく考えてません。ただいつも好きにやっているだけ。好きなこと、ほんとに好きなこと、ずーっと追いかければ、私はきっと伝わると信じています。烈風も、そよ風も。


私の友人のファミリーには、子供さんが大きくなられたら、めったにオートキャンプへ出られない人がずいぶんいます。好きなこと途中でストップ、さみしいですね。わが家では、子供は、用事があれば置いてきぼりで出かけます。親、たまに、いなくても、子はそれなりにエンジョイしています。自分でメニューを決めて、食事なんか作り、楽しくやってるみたいです。さぁ、フィールドへ出かけるぞ。fatherは焚き火。motherは大地で犬、走らせに。これってわがままですかね。


「答は風の中」というタイトルにふさわしい答をやっとひとつ、インディアンの首長シアトルさんから、もらうことができました。

閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

すべて表示

vol.053 寅さんに会おうと決めた

カーバイトを燃やしたアセチレンガスの匂い、バナナの叩き売りをやっているオジさんたちが、ねじりハチマキをきりりと引き締める。「さぁさぁ寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。そのオア兄さん、粋なねぇさんも寄ってきな。不老長寿、精力増強の万能食品、新鮮なバナナの大安売り ! 一本食べれば、オタクの母ちゃんが20歳若く見え、朝のカラスが鳴くまで寝かせネェよってほど精のつく食いもんだ。 ほらそこのおじいちゃん、

vol.052 水辺の生き物たちから学ぶ

今年の夏は、「暑い!」、「熱い!」 と呻いているうちに終わりました。私は暑さを避けるため、毎朝4時半に起きて、昼までに1日分の仕事を終え、最も暑さが厳しくなる午後はこまめに水分を補給して、疲れたら休む。 そんなふうにしてなんとか乗り切りました。 それでも、人間は文明の利器が使えるから、まだ自然界の生き物よりは楽かもしれません。 私たち人間は、夏はエアコン、扇風機で涼を取り、冬は電気やガスの暖房に

vol.051 気分はいつまでもフィールドのガキ大将

6月のはじめ、名古屋からの来客N氏を空港まで迎えにゆきました。それから次の日の朝まで、N氏と充実した会話が続きました。 N氏。 当社のキャンピングカーをご注文いただいた中野さんのことです。 インターネットが浸透したこの情報化社会。 メールだけでも十分にコミュニケーションが取れる時代にもかかわらず、わざわざ飛行機を使い、泊まりがけで、“遊びの商品” を見に来るなんて、そんな例はあまりありませんよ。

bottom of page